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一度は訪れたい特別なカフェ。奈良・奈良市「工場跡」


1960年代から70年代にかけてフランスに沸いた ヌーヴェル·キュイジーヌ(新フランス料理)の波はそのまま70年代後半からヌオーヴァ·クチーナとしてイタリアを席捲した。その中心にいた人物がグアルティエロ·マルケージである。

イタリアの食を代表するパスタも、伝統や郷土と一線を画す、新しいスタイルを次々に提案した。2017年に惜しくも世を去ったが多くの料理人たちがマルケージの遺志を継ぎ、彼らなりの時代、個性を盛り込んだパスタを表現している。

今、マルケージチルドレンたちが描くパスタとは?

Gualtiero Marchesi
グァルティエロ・マルケージ

ヌオーヴァ・クチーナ・イタリアーナ(新イタリア料理)の旗手。17歳で両親が営む「メルカート・ホテル」で厨房に立ち、パリ「ルドワイヤン」、ロアンヌの「トロワグロ」などで修業。帰国後は次々に斬新な料理を発表し、イタリアで初めて3ツ星を獲得。EUで大きなシェフ団体のひとつ「ユーロトック」の創立者のひとり。イタリア料理界に遺した影響ははかり知れず、日本からも多くの料理人が師事した。


text 山田美知世(Michiyo Yamada)
ミラノ在住38年。ファッションや料理に関する情報を発信し続ける。
マルケージとの交流も深い。

かつて「工場」だった場所から新たな可能性を生み出す

その名の通り、以前は工場として稼働していた建物を改装したカフェ。
築86年の「工場」は、随所に当時の面影を残しており、歴史的建築物としての価値も高い。ギャラリーやイベントスペースなど、伝統を未来につなぐ試みも行なっている。

 築1925(大正14)年。「フトルミン」という乳酸菌飲料などを製造していた工場だったが、80年に操業を停止。創業者のひ孫にあたる喜多和夫さんが、一部を改装し、週末のみカフェとして営業している。できる限り現状維持した内外装や、実際に使われていたガラス瓶や道具をディスプレイし、独特の空間をつくり出している。世界遺産でもある東大寺の裏側に位置し、静謐な時間を過ごすことができるのも魅力だ。 喜多さんは「先祖より引継いだ大切な建物を現在の姿で残し、多くの方に訪れてもらえるように」とカフェを始めた。さらに、「温故知新」「継承」「整理整頓」といった、この場所らしいテーマでギャラリー展示やイベントも開催している。

 足を運んでくれた人に喜んでもらいたいと、厳選したスペシャルティコーヒーを丁寧に抽出するほか、パストラミのサンドイッチなど、手作りのおもてなしを感じるドリンクや料理を提供している。

元工場の事務室でのんびり過ごす
工場で宿直や事務をしていた畳の部屋を利用した座敷席。テーブル席よりも落ち着くと人気が高い。雰囲気に合うようにセレクトした雑誌や書籍を置いているので、のんびりと読書しながら過ごすお客も多い。

独自の空気感は時を超えた錯覚
カフェになっている元事務室の入口。奈良の宮大工の手によって建てられたというが、白い窓枠など、大正時代の建物らしい、モダンな雰囲気も感じられる。古い建物好きな人が見学に訪れることも。

工場跡
奈良県奈良市芝辻町543
0742-22-2215
● 金11:00~18:00、土日祝9:00~18:00
● 月~木休


text:Tatsuya Ohgake /photo:Toru Iida

本記事は雑誌料理王国第205号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第205号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。






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